Web Site Photo Essay Series “
Shimura Hiroshi Cambridge Journal column”

ケンブリッジ通信 フォト・ダイアリー
  
バック・ナンバー 003



発信元/写真・文・デザイン: 志村博

 

 
   

  『11月14日の夜は、満天の星空でした。 天の川まではっきり見えて、暫し見惚れてしまいました。
 あまり風もなく、こんな夜の翌朝は放射冷却現象で冷え込みます。 案の定、朝はまるで雪が降った
 みたいに真っ白です。
フリージング・フォグ(霧氷現象)です。 空気中の水蒸気が地表近くにある
 枯れ枝や葉の縁に凍りつきます。 そこに日が射し込み始めると、キラキラ輝き夢のような光景です。
 メドーの撮影に出たかったのですが、残念ながら、この日はロンドンに作品を届ける約束があります。
 庭で少しだけ撮影をして、次のチャンスを待つことにしました。 この光景は日が昇り、気温が上がる
 10時頃には消えてしまいます。 週末は曇り、明け方氷点下に気温が下がる事はなさそうです。
 
来週から、3週間の日程で日本に行く予定なので、当分“お預け”です。
』 2001年11月中旬某日


 
   

  『11月11日はイギリスの戦没者追悼祈念日です。 私のアトリエから、車でわずか15分程の距離に
 インペリアル・ウォー・ミュージアム(帝国戦争博物館)なるものがあります。 規模はヨーロッパ最大、
 第二次世界大戦に使われた軍事空港全体が、博物館になっています。 巨大な格納庫が数棟あり、
 その内部や野外にも、
第二次世界大戦以降の兵器などが所狭しと展示されています。 2年程前、
 この博物館にアメリカの軍用機が収められた新しい格納庫が作られました。 アフガニスタン空爆でも
 使われている大型爆撃機“B52”や、日本を焦土に化した“B29”などもこの中に収納されています。
 11月11日は博物館の一般無料公開日でした。 毎日、戦争のニュースが流れている今日、改めて
 
アメリカ館
訪れてみました。 戦争の不気味な迫力に満ちています。』 2001年11月中旬某日

 
 
   

  気象庁の発表によると、先月の平均気温は例年より暖かく、今年の秋の進行状態は約2週間遅い
 そうです。 11月になって、朝晩は冷え込むようになったのですが、日中はまだ暖かい日が続いて
 います。 そう思うと、今年の黄葉・紅葉の進行状態もゆっくりしています。 イギリスでは、日本の楓の
 ような紅葉は少ないのですが、ツタやナナカマドなどが紅葉します。 ジェフリー・アーチャー邸の塀や
 壁のツタの
紅葉も長続きしています。 毎日、少しづつ色を変えてゆく配色の妙は見ていて飽きません。
 森には、ブナや西洋カエデなどが多く、ほとんどが黄葉なので、森の紅葉はあまり見られません。』
 2001年11月上旬某日


    

  『ついに11月になりました! 東京では、文化の日に珍しく雨が降ったそうですね。 ケンブリッジでは、
 珍しく暖かい上天気の週末になりました。 グランチェスターの丘の上に立って、日々秋色に変わり行く
 メドーの景色を眺めていたら、通りかかった女の子達に写真を撮ってと頼まれました。 11月になったと
 いうのに、夏のような格好です。 おまけに、お腹まで出しています。 早速、私のカメラでも、撮影させて
 もらいました。 秋進行中のティー・ガーデンでも、木陰のデッキ・チェアーで日向ぼっこをしながら、外で
 お茶を楽しむ人々で、この週末は終日にぎわっていました。小夏日和です。』 2001年11月上旬某日


 
   

  『ケム川の水位は通常レベルに下がり、牧場に広がっていた湖水も、幻のように消えてしまいました。
 ケンブリッジのフィッツウィリアム博物館では縄文土器の展覧会が開かれています。 歴史的な史料と
 してよりは、土器を陶芸作品として
展示してある事に興味がありました。 この展覧会に関連して記念
 講演がケンブリッジ最古のカレッジ“ピーターハウス”で開催されました。13世紀に創立された伝統的
 なカレッジと講堂は、縄文文化を語るのに、これ以上相応しい場所はありません。 縄文の権威である
 小林達雄教授と、ブリティッシュ・コロンビア大学のリチャード・ピアソン教授の講演が、25日夕刻から
 行われました。 特に気候変動が縄文文明に与えたインパクトの話は、いま我々が直面している問題
 とも重なり、大いに考えさせられました。 大洪水の後だからでしょうか。
』 2001年10月下旬某日


   
 

  『今回のケム川の氾濫は、リバー・サイド街へ溢れ出し20年ぶりに浸水家屋がでました。 市内で
 浸水したのは川沿いの約10数軒の家屋ですが、大騒ぎです。 でも、1番被害が深刻だったのは、
 ケンブリッジから約10キロ下流の河岸に近年開発によって出来た住宅地です。 洪水の頻度が増す
 これからの時代に向けて、宅地開発のあり方に問題を提起しました。 でも、子供たちは今年再度の
 洪水に大喜びです。 しかも、10月としては暖かい日が続いているので、冠水した公園では、長靴も
 履かず、びしょ濡れになってはしゃいでいました。 ケンブリッジで起きた洪水については、私のHP
 「ケンブリッジ通信」第5号・第7号や「TV・ビデオ」のページにもあります。』 2001年10月下旬某日


  
   

  『10月21日の雨はケンブリッジ地域に、20年ぶりの大洪水を起こしました。 なにしろ、10月の平均
 降雨量の全てが、この1日で降ったのです。 ここグランチェスターの牧場も大きな湖となりました。
 美しい湖水地方の出現です。 洪水は私のHPでも、TV番組でも何回も取りあげた永遠のテーマです。
 翌日から、他の仕事を放り出して撮影に飛び回っています。 ケム川の水位は今年始めの全国的な
 大洪水の時よりも高く、ケンブリッジの周辺で未曾有の洪水風景を展開しています。それにしても、
 去年から今年にかけての洪水の頻度は異常としか言いようがありません。』 2001年10月下旬某日


 
   

  『ケンブリッジの街にサーカスが来ました。 街の北側にあるミッドサマー・コモンと呼ばれる川沿いの
 緑地に大きなテントが組み立てられました。 サーカスが来るのはそんなに珍しくないのですが、立派な
 テントです。 近くを通りかかった際に思わず撮影しました。 その翌 10月21日・日曜日、イギリスでは
 珍しく一日中雨が降り続きました。 前線がケンブリッジのある地域を軸として回転したので、上空に
 前線が停滞しました。 特に激しい雨ではありませんでしたが、ケム川は洪水を起こしフラッド・プレイン
 の緑地や公園は冠水しました。 1日の雨降りで、この立派なテントは水浸しになってしまいました。』
 2001年10月下旬某日 志村


 
   

  『10月半ばになると言うのに、庭のあちこちに春の花が咲いています。 タンポポ、クロッカス、ポピー、
 本来、これらの花たちは春から初夏にかけて開花する種類です。 最近、庭の手入れを怠っているので、
 自生しているこれらの植物が、花壇や芝生で幅を利かせて“狂い咲き”の競演です。 この狂い咲きは
 今年に限った事ではありませんが、9月10月と例年に比べ気温が高く、雨が適度に降った事で、今秋
 は顕著です。
これも地球の急速な温暖化と関係があるのでしょうか? 狂っているのは人の世だけでは
 なさそうです。 でも“狂い咲き”の方は風情があって良い。 百花狂乱歓迎!』 2001年10月中旬某日


    

  『イギリス空軍も参加してアフガニスタン空爆が始まりました。 ロンドンではテロの風評も飛び交い、
 人の世は落ち着かなくなりました。 しかし、ここグランチェスターの川辺は平和な秋の時間が過ぎて
 行きます。 イギリスでは川や湖があれば、どこでも白鳥を見かけます。
彼らは飼われているのでは
 なく、自然のままに棲んでいます。 ケム川ほとりでも自分たちで巣を作り、雛を育てたりしています。
 長い歴史の中で、保護されて来たので、人を恐れることはありません。 私がカメラを向けると灰色の
 若鳥は興味を持ってレンズを覗き込んできます。 ただし、犬は敵と見なし、近づくと激しく威嚇して
 追い払います。
このグランチェスター白鳥一家は向かうところ敵なしです。』 2001年10月上旬某日

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