Web Site Photo Essay Series “
Shimura Hiroshi Cambridge Journal Diary”

 
ケンブリッジ通信 フォト・ダイアリー

 
バックナンバー 033
 



発信元/写真・文・デザイン: 志村博
 

    

  『 今回の日本行きフライトは、所々に空席もあり余裕です。 ゆったりしたスペースで、隣にPCを広げ、
 撮影した写真を機上で入力、サイトを作っています。 ケンブリッジから空港へ向かう朝は、雨でしたが、
 飛行機が飛び立つ頃には雲間もあって、東アングリア上空では、黄色の菜種畑が点々と見られました。
 北欧の耕地は、丘陵の多いイギリスに比べると、大きく整然としています。 バルト海の島々にも、島の
 形に合わせて、耕地が並んでいるのが見えます。 航路は、やや南寄りコースで北極圏を目指します。』
 2004年5月下旬某日



    

  『 再び日本へ行く日程が、近づいてきました。 今回は、わずか2週間ケンブリッジに戻っていましたが、
 その間、絶好の撮影日和が続き、毎日カメラ片手に散歩ばかりしていました。 グランチェスターも街も、
 ケム川沿いを歩くことが多く、いたるところで水鳥たちに会います。 ガンやカルガモ、白鳥やガチョウも、
 みんな雛たちを連れて、忙しそうに川を行き来しています。 野鳥たちにとっても、ケンブリッジは安全で、
 餌も豊富にあり、子育てできる環境なのでしょう。 舟が近づいても、平然と子連れで、前を横切ります。』
 2004年5月下旬某日



    

  『 週末も予報通り、素晴らしい陽気が続いています。 爽やかな微風に、日差しは心地よく降りそそぎ、
 人々は草の上で、思い思いに寛ぎます。 日中の草原は、暑くも寒くもない快適な緑の絨毯のようです。
 家族連れはピクニック、試験を控えている学生たちは教科書を広げ、日がな一日草の上で過ごします。
 未明の同じ場所に朝霜が降りていたとは、誰も想像しないでしょう。 夏至まで、あと1ヵ月をきりました。
 日も長くなり、最高の季節がもうすぐそこです。 午後6時を過ぎても、太陽は西の空で輝きつづけます。』
 2004年5月下旬某日



    

  『 快晴の夕空を撮影した翌朝の午前4時半に、グランチェスター・メドーに立ちました。夢見たとおりの
 光景が広がっています。 驚いたことに、メドーには薄っすらと朝霜が降りていて、長靴を履いていない
 私は、斜面で足を滑らせ、思わず転びそうになりました。 未明の放射冷却で、気温が3度位まで下がり
 冷気が辺りを包んでいます。 霧が川面を流れ、そこに昇ってきた朝日が光の帯を放ち、幽玄の世界が
 出現します。 何度となく見た光景ですが、感動です。 他に人影はなく、幻想の景観を、一人占めです。』
 2004年5月下旬某日



    

  『 連日続いていた晴天も一休みで、日中は曇り時々雨も降りました。 気温も平年並みの20度以下に
 落ち着いたのですが、夕方になったら雲が吹き飛んで、快晴になりました。 日の入りは、午後8時45分。
 いつものグランチェスターの草原に立ちました。夕風は冷たく吹きますが、太陽は地平線に近づいても
 輝きを失わず、顔を向けると暖かさを感じます。 週末は再び好天気になりそうで、いつまでこの陽気が
 続くのか、気になります。 今年も例年のように、大学の試験が終る頃、天候が逆戻りするのでしょうか。』
 2004年5月下旬某日



    

  『 毎日、今年の最高気温を更新して、ついに25度に達しました。 まるで夏の気分です。 ケム川には、
 観光客満載のパント(平底舟)が行き来して、カレッジ見物です。 この時期、学生たちが学年末試験を
 控えているため、観光客がカレッジ構内を歩き回ることは制限されています。 中世のカレッジ建築や、
 カレッジ橋を眺めるには、ケム川からの景観が素晴らしく、観光シーズン特有の喧騒にも煩わされない
 水温むこの季節が、川遊びに適しています。 学生たちにとっては、試験が終るまで憂鬱な季節です。』
 2004年5月下旬某日



    

  『 その後、気温は上昇を続け20度以上になりました。 イギリス南部は初夏の陽気です。 私が日本に
 滞在していた間は天候不順で、かなり雨が降ったようです。 川岸には、ケム川がメドーの高さ近くまで、
 増水した痕跡が残っていました。 今年のリンゴ開花は、悪天候とも重なり大したことなかったようです。
 その代わりグランチェスターの“サンザシ”が、例年以上の白い輝きです。 小花の塊りが、枝々につき、
 遠目に見ると、まるで雪が積もっているようです。 しばらくは、初夏のような“爽やか天気”が続きます。』
 2004年5月中旬某日



    

  『 東京から戻って以来、ケンブリッジでは良い天気が続いています。 大都会の生活から田舎に飛び、
 ちょっとした仕事の合間にも、カメラ片手に野や森を歩くことができます。 家に近いグランチェスターの
 バイロンズ・プールやブナの森は、保護林として散歩道などが整備され、人にも犬にも、人気の森です。
 木々は新緑から深緑へ変りつつあり、射し込む光が“西洋カエデ”の5指を広げた葉を照らし出します。 
 西洋カエデは、イギリスの森に昔から多く自生していて、家具や船の内装材に使われていたようです。』
 2004年5月中旬某日



    

  『 夏日にもなった北緯36度の東京から、一挙に、北緯52度のケンブリッジに帰って来ました。 やはり、
 朝晩は肌寒く感じますが、気温15度前後、晩春の爽やかな天候です。 愛車の定期整備と車検があり、
 近くのカー・ディラーまで出かけました。 途中の菜の花畑は、黄色の花で、一面が明るく輝いています。
 帰りの飛行機からも確認しましたが、東アングリア・ケンブリッジ州周辺では、菜種の耕作面積が増加
 しているようです。 あと2週間程は、野に出ると甘い蜜の香りと、黄色のカーペットに遭遇する筈です。』
 2004年5月中旬某日



    

  『 フライト情報の地図画面を見て驚きました。 今までにない北寄りのコースを、飛行しているようです。
 シベリア大陸東部を縦断して、全航路のほぼ3分の1が北極海上空を飛び、最北部では、北緯80度辺り
 まで到達します。 ほとんど雲に覆われて海上の様子は分かりませんでしたが、辛抱強く待っていたら、
 ついに雲の切れ間に来ました。 海面に浮ぶ氷は割れて、所々海水面が、太陽の光を反射しています。
 美しく幻想的で、しかも稀に見る北極海晩春風景に遭遇し、我を忘れて、シャッターを切り続けました。』
 2004年5月中旬某日

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