Web Site Photo Essay Series “
Shimura Hiroshi Cambridge Journal Diary”

 
ケンブリッジ通信 フォト・ダイアリー

 
バックナンバー 034
 



発信元/写真・文・デザイン: 志村博
 

    

  『 最近は、欧州北回り便の飛行コースに幅が出てきたようです。 以前に比べて便数が増えたためと、
 思われますが、どんな航路を飛んでいるか気になります。 今回のフライトは、北極に深く入り込む航路
 でした。 雲の切れ間から見られる北極海の氷は、前のフライトの時から比べると、さらに氷解がすすみ、
 小さな塊になっていました。 バレンツ海の西側では、さらに細かくなって、海流にのって流れています。
 こんな光景を眺めながら飛んでいると、半日前まで、梅雨で蒸し暑い東京にいたことが、嘘のようです。』
 2004年6月中旬某日



    

  『 シベリア大陸の最北部を除いて平地の雪はほとんど消えていましたが、高地には雪解けの文様が、
 はっきり残っています。 稜線や谷に沿って雪の白線が続き、山の形を際立てます。 そればかりでなく、
 山腹を横切る地層が、この時期だけ上空から見ることができたり、等高線のような不思議なパターンも
 現れます。 冬季は雪に覆われて、よく分かりませんが、山の雪解けが進むこの季節は、地形の違いが、
 明瞭なコントラストで浮びます。 右端はノルウェー上空からの写真で、氷河で削られた“U字谷”です。』
 2004年6月中旬某日



    

  『 ケンブリッジに帰ってすぐ、このコラムのアップロードをする予定でしたが、帰着翌日からの好天気で、
 撮影に飛び回っていたため、報告が遅くなりました。 いつものフライトで、イギリスに無事戻っています。
 今回は、久しぶりに右の窓席に座りました。 夏の欧州北回り便は、暗くならない順光の北極風景です。
 シベリア北部の沼沢地帯の氷雪はほとんど消え、短い夏が始まっていました。 沼や河の間の平地は、
 薄っすらと緑色に染まり、草原が広がっているようでした。 淡い緑と青を基調にした“抽象絵画”です。』
 2004年6月中旬某日



    

  『 夕日が沈むまで、入江を眺めました。 東京滞在中に、こんな寛いで夕景を見るのは、久しぶりです。
 イギリスに帰る日が近づき、いつものことですが、慌しくなってきました。 カメラを持ってのんびり歩ける
 のも、今回はこれが最後でしょう。 まだやり残している事は多く、飛行機に乗るまで作業に追われそう
 ですが、お台場での夕刻散歩は、悔いありません。 案の定、このコラムを作りつつも、帰英準備などで、
 目が回る忙しさです。 しかも、この翌日から東京が梅雨入りして雨降りです。 蒸し暑さも、戻りました。』
 2004年6月上旬某日



    

  『 初夏の太陽が東京湾に反射して、対岸のビル群や波と戯れる人々のシルエットが、モノクロームで
 浮びます。 弟が赴任先のパナマで急死して、ちょうど1年が経ちます。 「メモリアル・サイト」に、子供の
 頃の写真を追加掲載するため、古いアルバムをめくりました。 昔の写真を見ているうちに、この辺りの
 海によく遊びに来たことを思い出しました。 当時は潮干狩りやハゼ釣りの場所で、広大な干潟がまだ
 残っていました。 埋め立てや臨海開発が進み、風景は一変、新ウォーター・フロント時代の到来です。』
 2004年6月上旬某日



    

  『 日本での仕事も佳境に達して、2005年カレンダーの製版もほぼ終りました。 後は調色作業があり、
 このひと夏をかけてテスト印刷を行います。 来年のカレンダーは、久しぶりに版画スタイルに戻ります。
 東京は蒸し暑さがなくなり、爽やかな快晴の日になりました。 現像済みのフィルムを引き取った午後、
 夕方からお台場臨海地区へ足を延ばしました。 ここの景観は、東京都心とは思えないほど開放的で、
 明るい感じです。 午後5時頃でしたが、青空が広がり、真夏のリゾート感覚です。 やはり、海は良い。』
 2004年6月上旬某日



    

  『 都心での打ち合わせの後、六本木ヒルズ“ハートランド”に、立ち寄りました。 行くまで知らなかった
 のですが、ハウスバンドの一つ“Tica”の「ニューアルバム・リリース・パーティー」が開かれていました。
 日本に来たことを知らせていなかったので、バンドのメンバーやハートランドのスタッフは、私の突然の
 出現に驚いていました。 みんなに「陽に焼けた。」と言われ、改めて自分の顔を鏡で見ました。 異例に
 続いたイギリス晩春の好天気で、撮影三昧の結果ですが、日本に来てからの分も加算されています。』
 2004年6月上旬某日



    

  『 サンシャイン60展望台に昇りましたが、オープンデッキに出て驚きました。 晴れているのに、空気は
 湿気を含み、風が肌にまとわりつく感じです。 雲が強い風に飛ばされながら、街の灯りを映しています。
 日没直後の夕空は、不思議な配色の光景が、ゆっくり深みを増して行きました。 スカイギャラリーでは、
 “夜の虹”の写真展が開かれています。 その写真家、高砂淳二氏と会いました。 自然をテーマにした
 作家として共感する点が多く、スターライトドームの映像プログラムについての話も参考になりました。』
 2004年6月上旬某日



    

  『 到着した東京は、もう“夏日”です。 気温は30度を超え、日差しも強く、かなりの蒸し暑さに参りました。
 湿度が低く、爽やかなイギリスの晩春気候から、高温多湿の日本に瞬間移動です。 体調を整える間も
 なく、サンシャイン60へ出かけました。 打ち合わせまでは、時間があり、猛暑の街路を歩く気にもならず、
 納涼のため水族館に入りました。 サンシャイン水族館は、頻繁に訪れているので、馴染みの顔ぶれが、
 出迎えてくれました。 館内をデジカメで撮影しながら歩き周るのは楽しく、涼しい一時を過ごせました。』
 2004年6月上旬某日



    

  『 北側の席に座っているのですが、太陽がまぶしくなり、ブラインドを下ろし映画を見ています。 今回、
 初めて最新鋭の“イヤーフォン”なるものが配られました。 飛行機のノイズを打ち消す装置つきとか!
 「指輪物語3」を見ていますが、以前に比べ数段よくなりました。 迫力音響です! 最北の地点に来て、
 やっと太陽が地平線に近づきました。 しばらく、地平線の雲層を漂い、また上昇しました。 夏の時期、
 夜間飛行でも、太陽は白夜現象で完全には沈みません。 北極上空で見る“ミッド・ナイト・サン”です。』
 2004年5月下旬某日

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