志村博 「ケンブリッジ通信」 フォト・ダイアリー / バック・ナンバー 050


 バックナンバー 050 


    

  『 乗り継ぎ地点のオランダ上空に達しました。 アムステルダム近郊では、運河網が傾きかけた陽に
 輝いています。 細かい網の目状の光が、航空機の動きに合わせて移動します。 この辺りに、積雪は
 ありません。 旋回しながら高度を下げ始めた窓から、突然スキポール空港が見えてきました。逆光に
 滑走路が輝いています。 着陸後、ロンドン・ヒースロー空港便に乗り継ぎ、夕闇が迫る頃、イギリスに
 帰って来ました。 空港からケンブリッジ行きバスに乗りましたが、東京の夜に比べ、暖かい感じです。』
 2005年1月下旬某日



    

  『 帰ってきて、ほぼ1月半ぶりのグランチェスター・メドーを散策しました。 懐かしい風に吹かれながら、
 冬のやさしい光に輝くメドーを堪能しました。 東京の冬に比べると太陽の位置が低く、真昼でも斜めの
 光線が川面を煌かせます。 牧草は鮮やかな緑ですが、みんなが歩く辺りが、ややぬかるんで茶色に
 なっています。 イギリスの冬は湿度が高く、雨が降らなくても土は水を含み、川岸の所々は長靴なしで
 通れないほど、ぬかるみます。 この湿り具合が、乾燥した表日本から戻ったばかりの肌に心地よし。』
 2005年1月下旬某日



    

  『 強い寒気団が日本列島を伺っているとか。 イギリスは“マイルド”で、ケンブリッジの気温は東京に
 比べてもやや暖かく、昼間の気温は10度前後、夜間の冷え込みも弱い感じです。 風もそんなに強く
 ありません。 メドーを歩くと冬の散歩を楽しむ犬たちとすれ違います。 彼らは嬉しくて仕方ないように
 メドーを走り回ります。 しつけが良く出来ているので、犬同士けんかしたり、散歩をする他の人たちに
 迷惑をかけたりしません。 でも、シープ・ドックの“ジョージ”君は、カメラを構える私に興味深々です。』
 2005年1月下旬某日



    

  『 もう1月が終わろうとしています。 庭のあちらこちらではスノードロップが勝手に白い花を咲かせて、
 春が近いことを告げています。 日が長くなり、鳥たちのさえずりも賑やかになってきました。 暖かくて
 どんよりと曇った昼下がり、メドーの川岸にパント(平底舟)が留めてあるのを見つけました。 付近に、
 人影はなく、街からの一行は丘の上のパブで盛り上っているに違いありません。 舟にはシャンペンの
 空瓶や“Happy Birthday”の風船が残されています。 冬の舟遊びです。 この日、私も誕生日でした。』
 2005年1月下旬某日



    

  『 2月に移行しましたが、相変わらず平年より暖かく、穏やかな気候が続いています。 スノードロップ
 だけではなく、早春の花々が次々と開花しています。 プリムローズ、クロッカス、ウィンター・アコナイト
 (黄花節分草)、ディジーなどが植えてもいないのに、庭の至るところから顔を出してきました。 水仙の
 葉も伸びてきて、小さな蕾もつけた茎もあります。 しかし、今までの経験から、このまま春になるとは、
 考えがたく、再び冷え込むのは必定です。 これから一進一退ゆっくりしたペースで、春が進行します。』
 2005年2月上旬某日



    

  『 ケンブリッジ通信・第21号“冬のグランチェスター・メドーに静かな白鳥”で、冬のメドーに集う白鳥を
 映像で紹介しました。 冬景色の中の白鳥は、美しさが際立ちます。 先日メドーでとても素敵な光景に
 遭遇しました。 川縁で一心不乱に羽繕いをしている1羽の成鳥に会い、私は水際まで下りて、撮影を
 始めました。 知らぬ間柄ではありません。 白鳥は至近距離の私を無視して、入念な羽繕いを延々と
 続けました。 撮影に飽きて、ゆっくりと川岸を歩き始めましたが、気がつくと白鳥も一緒に移動です。』
 2005年2月上旬某日



    

  『 ケム川はグランチェスターの丘を迂回するように蛇行しています。 その曲り角に来たとき、一緒に
 下流に向かっていた白鳥が翼を立てました。 白鳥が高揚したときに見せる仕草です。 柔らかい冬の
 陽に羽が輝いています。 しばらく見惚れていましたが、突然、川下から大きな羽ばたき音が聞こえて
 きました。 カメラごと振り向くと、別の白鳥が川面すれすれに滑空しながら、こちらに向かって来ます。
 私の前を通り過ぎ、羽を立てた白鳥の近くに着水しました。これから何が起こるのか、見守りました。』
 2005年2月上旬某日



    

  『 出会った2羽の白鳥は羽を立てたまま、首を交互に上下させました。 そして、向かい合って、胸を
 合わせ羽を収め、今度は首を交互に左右させています。 ミュート・スワン(音なし白鳥)は、鳴き声を
 あげません。 鳴き交わすことはなく、優雅で情熱的な感情表現です。 時折、このような挨拶を目撃し、
 ビデオ・カメラでも撮影したことがありますが、このように遠くからお互いの姿を認め、滑空をしながら
 近づき、挨拶を交わす姿は初めて見ました。 久々の逢瀬だったのでしょうか? 感動的光景でした。』
 2005年2月上旬某日



    

  『 ロンドンでアート・フェアがあり、週末の午後、ロンドンの中心部へ出かけました。 会場への道筋、
 寄り道をしながら、イギリスの首都散策を楽しみました。 サウス・ケンジントン地区のカトリック教会や、
 ビクトリア・アンド・アルバート博物館に、ぶらりと入って普段は撮らないような写真を撮り、帰りは夕闇
 迫るハイド・パーク沿いの道で見つけた、リムジンや“マイル・ストーン”を撮影したり、のんびりと街を
 歩きました。 冬の街探索も良いものです。 アート・フェア会場の様子は「展覧会」ページに掲載です。』
 2005年2月上旬某日



    

  『 いつものコースで、ピカデリーのギャラリーに寄り、コベント・ガーデン地区で、帰りのバス時刻まで、
 時間をつぶしました。 どこでも人々が外に集っています。 2月初め、本来ならば、一番寒い時期なの
 ですが、あまり寒さを感じません。 1月の気象統計が発表になりました。 イギリス全体の平均気温は、
 1990年以来の暖冬で、降雨量は例年の半分だったとか! 私は1月のほとんど寒い東京にいたので、 
 関係なかったのですが、暖冬だと曇り空が多く、冷え込んで美しい青空の風景を、待ち焦がれます。』
 2005年2月上旬某日

 ● 改行位置は文字サイズを “中(M)” に設定して構成されています。
  時間の流れは、最新版とは逆に“上から下”に再編成されています。








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